株式会社ギブリー 競合分析レポート

HR Tech / Marketing DX / Operation DX の3事業領域における競争環境
作成日: 2026年2月14日
企業概要
設立
2009年
従業員数
581名
2025年6月時点
売上成長率
140〜150%
年平均
DX支援実績
4,000社+
資本金
5,000万円

ギブリーは3つの事業部門で20以上のサービスを展開する。上場は未済だが、東証プライムまたはNASDAQへの時価総額1,000億円規模での上場を公言している。

HR Tech事業 - Track Marketing DX事業 - DECA Operation DX事業 - MANA
事業領域1: HR Tech - Track(エンジニア採用・育成)

Trackはコーディングテスト導入社数累計No.1を獲得し、累計受験者数100万人を突破した。2025年11月にリブランディングを実施し、採用だけでなく育成・評価・配置を「スキル」で統合する方向へ舵を切った。日本eラーニング大賞2025の経済産業大臣賞も受賞済み。

競合比較表
サービス 提供企業 主な特徴 価格帯 脅威度
Track Test ギブリー 1,000問超。アルゴリズム+実装+AI。アクションログで不正検知。導入400社超 要問合せ -
HackerRank HackerRank (米) 40言語対応。グローバル数千社導入。カスタムテスト・リアルタイムコーディング $165/月〜 高
Codility Codility (英) Amazon・Intel等が採用。精度+パフォーマンスの二軸評価。英語UI $1,200/年〜 高
HireRoo HireRoo 5次元評価。思考プロセス再生機能。コピペ・タブ切替検知 受験者単位課金 中
TOPSIC AtCoder TOPSIC-PG(アルゴリズム)+ TOPSIC-SQL(DB)。入社後育成にも対応 38,000円/年〜 中
TechFUL TechFUL 18言語+SQL。採用ミスマッチ軽減に特化した客観スキル評価 要問合せ 低
paiza paiza 63万人登録。S/A/B/Cランク制。成果報酬型(採用決定時30%) 成果報酬 中
競争上のポイント

HackerRankとCodilityは日本市場での存在感を年々増している。ただし英語UIや海外サポート体制がネックとなり、国内エンタープライズ向けではTrackが依然として有利。Trackの差別化要因は単なるアルゴリズム試験にとどまらず、フロントエンド・バックエンド実装やAI領域まで問題をカバーしている点にある。

paizaは人材紹介モデルのため、直接競合というよりも補完的な存在。AtCoderのTOPSICは価格の安さが武器だが、出題範囲の広さではTrackに及ばない。

事業領域2: Marketing DX - DECA(マーケティング支援)

DECAは「自社データ × ChatGPT」を核とするマーケティングDX支援サービス群。DECA AI接客は2024年4月にリリースされ、チャットボット・メール返信・ナレッジ自動生成をカバーする。対応チャネルはWebサイト、LINE、Instagram。

競合比較表
サービス 提供企業 カテゴリ 主な特徴 脅威度
DECA AI接客 ギブリー AI CS/チャットボット 自社データ × 生成AI。FAQ自動生成。マルチチャネル対応 -
KARTE プレイド CX プラットフォーム リアルタイム顧客分析。Web接客・プッシュ配信一元管理。上場企業 高
SATORI SATORI MA ツール 匿名リードへのアプローチが可能。国内MA市場で上位 中
Zeals Zeals チャットコマース 完全成果報酬型。導入コスト不要。ISMS/Pマーク取得 中
チャネルトーク Channel Corp. CS/チャット Web・LINE・Instagram一括管理。CRM連携。急成長中 高
Intercom Intercom (米) CS プラットフォーム AI搭載カスタマーサポート。グローバル25,000社導入 中
競争上のポイント

マーケティングDX領域は参入企業が多く、差別化が難しい市場。KARTEはCXプラットフォームとして確固たる地位を築いており、プレイドの上場によりブランド力も高い。チャネルトークは韓国発ながら日本市場で急成長中で、スタートアップから中堅企業まで幅広く浸透しつつある。

DECAの差別化要因は生成AIとの深い統合にある。ルールベースのチャットボットから脱却し、企業固有のデータに基づくAI応答を実現できる点は、2024年以降の市場トレンドと合致する。ただしKARTEも生成AI機能を急速に拡充しており、この優位性は長続きしない可能性がある。

事業領域3: Operation DX - MANA(AI業務改革)

MANAは法人向け生成AI活用プラットフォーム。MANA Studio(2024年12月リリース)を中心に、AI Chat、AI Buddy(汎用型AIエージェント)、AI Training(研修)を展開。600社以上の導入実績を持つ。

競合比較表
サービス 提供企業 主な特徴 対象 脅威度
MANA Studio ギブリー 複数AIエージェント連携。業務アプリ連携。研修〜実運用まで一貫 日本のエンタープライズ -
Microsoft Copilot Microsoft M365完全統合。Excel・PPT・Outlookで直接利用可能 M365導入企業 高
ChatGPT Enterprise OpenAI 無制限GPT-4。データ学習なし。SSO/SCIM対応 全業種 高
Udemy Business Udemy 27,000+コース。AI/DX含む幅広い研修。eラーニング形式 全業種 中
スキルアップAI スキルアップNeXt AI/DX特化の人材育成。E資格対策。実践演習 DX推進部門 中
DMM 生成AI CAMP DMM 短期集中型DX研修。ブランド力と集客力 全業種 低
Cynthialy AI Performer Cynthialy eラーニング+1Dayハンズオン。階層別プラン 全業種 低
競争上のポイント

最大の脅威はMicrosoft CopilotとChatGPT Enterprise。この2つはプラットフォームそのものであり、MANAが「AIを使いやすくするレイヤー」として機能しなくなるリスクを孕む。M365の導入率が高い日本のエンタープライズにとって、Copilotは追加コストなしの選択肢になりかねない。

ただしMANAの勝ち筋は「日本語での手厚い導入支援」と「研修からツール運用まで一貫して面倒を見る」点にある。生成AIを入れただけでは組織に定着しない。定着させるには研修設計・ユースケース開発・効果測定のサイクルが要る。ここにギブリーの4,000社の知見が活きる。

SWOT分析

Strengths(強み)

  • コーディングテスト国内No.1の実績(累計受験者100万人、導入400社超)
  • 3事業部門にわたる多角的なDX支援ポートフォリオ
  • 累計4,000社のDX支援実績から蓄積されたノウハウ
  • 年140〜150%の売上成長率を継続
  • グローバルな開発チーム体制(ベトナム拠点含む)
  • 研修 × ツール × コンサルの一貫支援が可能

Weaknesses(弱み)

  • 未上場のため資金調達力・ブランド認知でプレイドやOpenAIに劣る
  • 事業が多角化しすぎ、部門横断のコミュニケーション不足が指摘される
  • マーケティングDX領域では後発。KARTEやチャネルトークに比べ知名度が低い
  • 価格体系が非公開のサービスが多く、導入ハードルを上げている
  • 各事業のシナジーが外部から見えにくい

Opportunities(機会)

  • 生成AI市場の急拡大。日本企業のAI導入意欲は過去最高水準
  • リスキリング助成金・DX税制による法人研修需要の増加
  • エンジニア不足の深刻化に伴うスキル評価ニーズの拡大
  • AIエージェント時代の到来でMANA Studioの市場が広がる
  • IPO実現により一段の成長資金獲得が見込まれる

Threats(脅威)

  • Microsoft Copilot / ChatGPT Enterpriseの直接競合化
  • HackerRank・Codilityの日本語対応強化
  • プレイド(KARTE)やチャネルトークのAI機能拡充
  • 生成AIの低価格化で「導入支援」の価値が薄れるリスク
  • 大手SIer(NTTデータ、富士通等)がDX研修市場に参入強化
事業領域別 脅威マトリクス
競合 対象領域 脅威度 理由
Microsoft Copilot MANA 高 M365との統合により、MANA Studioの存在意義を根本から揺るがす可能性がある
ChatGPT Enterprise MANA 高 OpenAIブランドと技術力。企業の「本家を使いたい」心理は無視できない
HackerRank Track 高 グローバル企業の日本法人が本社と統一ツールを求めるケースが増加
KARTE (プレイド) DECA 高 上場企業としてのブランド力とCX領域の圧倒的シェア
チャネルトーク DECA 高 日本市場で急成長中。SMB〜Mid市場でのシェア拡大が顕著
Codility Track 高 Amazon・Intelの実績。英語UIが唯一の弱点だが、多言語化は時間の問題
paiza Track 中 人材紹介モデルだが63万人のエンジニア基盤は侮れない
Udemy Business MANA 中 圧倒的なコンテンツ量。ただしカスタマイズ性ではMANAが勝る
総合評価

ギブリーの最大の武器は「HR Tech × Marketing DX × Operation DX」の3領域を横断できる点にある。エンジニアのスキル評価から始まり、組織全体のAI活用推進、顧客接点のAI化まで、一社で完結できるプレイヤーは国内に他にいない。

一方で、各領域単体で見ると専業プレイヤーに対する優位性は盤石とは言えない。Track事業はコーディングテストNo.1の地位を維持しているが、HackerRank・Codilityの日本語化が進めばシェアを削られる可能性がある。DECA事業はKARTE・チャネルトークとの正面衝突を避け、生成AI活用という切り口で差別化を図る戦略が妥当。MANA事業は最も市場成長が期待できる反面、MicrosoftとOpenAIという巨人の影が常につきまとう。

IPOが実現すれば資金力とブランド力が一段上がり、この3事業のシナジーを本格的に活かせるフェーズに入る。競合分析の結論として、ギブリーの勝ち筋は「個別のツール性能での勝負」ではなく「DX推進のワンストップパートナー」というポジションの確立にある。

推奨ウォッチ項目
項目 観点 頻度
Microsoft Copilotの日本エンタープライズ導入率 MANA事業の市場縮小リスク 四半期
HackerRank / Codilityの日本語対応状況 Track事業のシェア防衛 半期
プレイド(KARTE)のAI機能ロードマップ DECA事業の差別化維持 四半期
ギブリーのIPO動向 資金力・ブランドの転換点 随時
大手SIerのAI研修サービス拡充 MANA Training事業への影響 半期
本レポートは公開情報に基づく分析であり、正確性を保証するものではありません。
出典: givery.co.jp, aspicjapan.org, prtimes.jp, aismiley.co.jp, openwork.jp, 各社公式サイト